膝の痛みに対するヒアルロン酸注射で効果が出なかった方へ

はじめに

「膝の痛みに対してヒアルロン酸の注射が効かなかった・・手術するしかないのかな?」とお悩みの方は実は結構多いです。
本コラムでは、そのお悩みが解消するように、ヒアルロン酸注射は効果があるのか、手術をすべきなのかを解説いたします。

ヒアルロン酸注射が効果がない場合、正しく行われていない可能性が高い

当院に受診される患者さんからも、ヒアルロン酸注射が効かなかったというお話をよく聞きます。
レントゲンを撮らせていただくと、確かにヒアルロン酸の注射では効果が十分出にくいかもしれないなと思う患者さんもいます。
しかし、レントゲンを見る限りではそれほど大変そうには見えないのにもかかわらず、効果がなかったという患者さんもいます。

ヒアルロン酸注射の効果がない理由はいくつか考えられます。

①膝の痛みの原因がヒアルロン酸の注射では改善できないものである。

②ヒアルロン酸の注射が正しく行われていない。

③ヒアルロン酸の注射を十分な回数受けていない。


ヒアルロン酸の注射では改善できない膝の痛みは2つある

先程の①についてはさらに2つに分けられます。ひとつは進行が高度すぎて、ヒアルロン酸の注射でコントロールができない場合、もう一つはそもそも注射をするべき関節内に、痛みの原因がない場合です。

例えば、内側側副靭帯損傷や外側側副靭帯損傷はそれに該当しますし、上下の膝神経絞扼性障害や鵞足炎などもそれに該当します。


ヒアルロン酸の注射を正しい場所に入れていないケースが意外と多いです

膝の診療に力を入れて取り組む中で、②も意外と多いことにびっくりしました。適切な場所にヒアルロン酸を届けることができていないケースが多いのです。

手前味噌な話ではありますが、当院で注射をすると、今までしてもらったヒアルロン酸の注射と全然痛みの取れ方が違う、と言われる方が割合多くいらっしゃいます。

当院では、超音波ガイド下で全ての関節内注入を行うので、「カーナビをみて運転しているようなものだから」とお話をさせていただきます。


痛みが少ないようにしなければ、5回続けることが難しい

③は②と密接な関係があると思われますが、注射が痛いと、5回やるんだよと言われたって、やらないよね、ということです。

最後に

今まで受けたヒアルロン酸注射が、効果があったのだけど長く効かなかった場合、もしくは何回かやっても痛いだけであまり効果がなかった場合、いずれも問題は意外なところにあることがあります。

当院では、超音波ガイド下で適切な場所に痛みを小さく行う工夫をしております。

日本人においては、ヒアルロン酸の注射は、きちんと証拠のある治療です。諦めてしまう前に、もう一度取り組んでみませんか?


■文責
おかのクリニック 院長 岡野隆利
・ペインクリニック学会認定医
・日本体育協会認定スポーツドクター