膝の内側の痛み 原因と治療のポイント

はじめに

膝の内側の痛みは、変形性膝関節症に悩む多くの人にとって馴染みのある問題です。
この痛みの原因はさまざまで、原因が関節内にあるのかそうでないのかについての正確な診断と適切な治療が必要です。
今回は、膝の内側の痛みの一般的な原因と、その治療について説明します。

1. 内側半月板損傷

内側半月板は膝の内側に位置し、膝関節の安定性を提供します。
急な捻挫や過度のストレスによって損傷することがあります。

初期の段階では保存療法や理学療法が効果的で、ヒアルロン酸の注射が有効であったとする研究もあります。
重度の損傷の場合や早期のスポーツ競技復帰を目指す場合には手術が必要な場合もあります。

2. 関節炎

膝関節炎は膝関節の軟骨の劣化によって引き起こされ、内側の痛みをもたらすことがあります。
痛みの軽減のためには、ヒアルロン酸やPRPの注射に加えて非ステロイド性抗炎症薬や理学療法が行われます。
それらの治療に抵抗性が強く、進行が進み筋力が低下する場合、人工関節置換術が検討されます。

3. 内側側副靭帯損傷

膝の内側には内側側副靭帯と呼ばれる組織があり、これが損傷すると膝関節の内側の痛みが発生します。
内側側副靱帯の浅層やや下方には内側下膝動脈の走行が確認できますが、同部位は超音波ガイド下注射を行うことにより症状を改善できる可能性がある部位です。
その他に安静やサポートを提供する装具を使用することも一般的ですが、場合によっては手術が必要になることもありです。

4. 半膜様筋腱の損傷

半膜様筋は脛骨に停止するが、6つの停止部位を持ちます。その中でもdirect armは膝関節の安定性に重要な役割を果たす停止部位であり、治療の対象になることがあります。

5. 鵞足(がそく)の損傷

鵞足は膝関節内側というにはやや下部ですが、薄筋や縫工筋、半腱様筋などの腱の付着部炎、もしくは腱と内側側副靭帯の浅層の間の滑液包炎を鵞足炎といい、これも超音波ガイド下注射で改善する可能性があります。

予防と管理

膝の内側の痛みを予防し、管理するためには、適切な運動と姿勢が重要です。
筋力トレーニングとストレッチングを取り入れ、怪我を予防しましょう。また、怪我をした場合は早めに医師の診察を受け、治療計画を立てましょう。

最も重要なのは、膝の内側の痛みが放置されないようにすることです。
痛みがある部位、特に上にあげた1と2以外の部位に継続する場合、関節内だけの治療では十分でない可能性があります。関節外の症状に対して、適切な治療を受けることで、痛みの軽減と再発の防止が可能です。
逆に上記の部位に痛みがあることを伝えているのにも関わらず、関節内のみの治療が継続される場合は、自分の症状がきちんと管理されていない可能性がありますので、別の医師の意見を聞いてみる必要があるかもしれません。