膝関節に溜まった関節の水を抜くべきか? 水を抜いても再発する可能性はあるのか?

はじめに

膝の関節の水(以下関節液)がたまる状態は、多くの人々にとって不快な症状となり得ます。
関節を穿刺(せんし)して関節液を抜くことで症状を緩和できると言われていますが、一方で抜くことで再びたまりやすくなる可能性についても心配する人々もいます。
ここでは、関節液を抜くことの利点と欠点、また関節液の貯留が再発する可能性について詳しく説明します。

関節液を抜くメリット

関節液を抜く主な目的は、関節内の余分な水分を取り除くことによって症状の軽減を図ることです。
膝関節には元々2ml程度の関節液しか入っておりませんが、関節液の量が増えることによって関節が腫れたり圧迫されたりすることがあり、これは痛みの原因となります。
関節液を抜くことで、症状の軽減が期待されますし、同時にヒアルロン酸やステロイドホルモンを関節内注入することで、関節の炎症を治療することができます。

関節の水を抜くデメリット

関節液を抜くためには、大前提として関節の穿刺を行わないといけません。
実は、膝関節を適切に穿刺することはそれほど簡単なことではありませんので、水を抜くことに痛みや不快感が伴う場合があります。

特に適切に穿刺が行われなかった場合に、強い痛みが出ることが多いです。
最悪、細菌感染することも考えなくてはいけません。
それらのデメリットを考慮しても関節液を抜く必要がある場合のみに、行われるべきだと思います。

当院では超音波診断装置を用いることで、より正確な関節穿刺を行っております。

再発する可能性

関節液貯留が再発するかどうかは、原因や基礎となる疾患によって異なります。
水がたまる主な原因としては、関節の炎症、外傷、または基礎となる疾患(例:関節炎、痛風、半月板損傷など)があります。

これらの疾患が適切に管理されない限り、関節液が再び貯留する可能性はあります。
ただし、それは抜くことが原因であるわけではありません。
むしろ、関節液を抜いて、症状を軽減し、適切な運動を行うことで、痛みの悪循環を断ち切り、良い結果につながることの方が多いです。

関節液を抜くだけでは再発を防ぐことはできません。水がたまる原因となる疾患を適切に治療することが重要です。
例えば、関節の変形を治療するためのヒアルロン酸の関節内投与や生活習慣の改善、物理療法などを行うことで、再発の可能性を減らすことができます。

まとめ

関節液が溜まると、症状が不快で日常生活に支障をきたすことがあります。
関節液を抜くことは、一時的な症状の軽減に役立つ場合がありますが、再発を防ぐためには関節液がたまる原因となる基礎疾患の治療が重要です。

基礎疾患の最も多いものの一つ変形性膝関節症の治療については、少なくとも初期の変形性膝関節症の場合であれば、ヒアルロン酸の投与は膝関節の寿命を延伸することが知られております。

当院では、膝の治療に力を入れており、様々な治療法を用意しております。
是非ご相談下さい。

■文責
おかのクリニック 院長 岡野隆利
・ペインクリニック学会認定医
・日本体育協会認定スポーツドクター